人事に関するビジネスパーソン1000人調査
第3回【総括】

近年、よく聞かれる「戦略人事」という言葉があります。戦略人事とは「経営戦略と人材マネジメントを連動させることで競争優位を目指す」こと、要は人事部門が経営に積極的に関わり、人事業務を遂行していくということです。

「日本の人事部 人事白書2018」の中では、約9割の企業の人事が「戦略人事の必要性」を感じているという結果がでています。「戦略人事」の考え方と回答結果を対比しながら、どういった人事を目指すべきかを見てみます。

戦略人事を実行するには、人事の機能として後方支援的な業務を行うこと、所謂縁の下の力持ちという側面ももちろん必要ですが、同時に経営戦略と連動していることが重要になってきます。そのためには、人事は事業についての理解を持ち、経営者や事業部長のビジネスパートナーとして一緒に動いていくことが重要になります。事業を理解するということは、会社の内部だけを見ていてはできません。

また、センター・オブ・エクセレンスという機能も欠かせません。人事部は採用や人材配置、人材開発など、人事に関しての専門性を持つということです。これについては、自社にそういった人材を擁する場合もあれば、部分的に外部を利用するという方法もあると思います。重要なのは、「人事の専門性を活用できる環境があるかどうか」ということだと思います。

外部環境の変化という観点から考えるに、蓄積されたビッグデータやテクノロジーは、経営の全ての領域に入り込んできており、人事も例に漏れずテクノロジーの活用は外せない要素となります。現場を理解していないというイメージの深層が、上記に推測した理由であったとしたら、納得性をもった施策を実行する必要があります。社員の納得性を高めるためには、組織における問題について数値的・科学的なデータを示した上で、施策の必要性や妥当性を訴え、解決策を実行していくことが重要です。

ここまで記したような考え方や行動ができれば、守りの人事というイメージをはある程度払しょくされるのではないでしょうか?もちろん、実行するのはそう簡単なことではありません。「戦略人事」の考え方を根付かせるのは時間がかかります。しかし、諦めずに取り組んで、経営を主導する人事を目指していきましょう。様々な社会変化の中で企業競争⼒の源泉となるのは「ヒト」です。