人事に関するビジネスパーソン1000人調査
第2回【人事が役に立っているか?人事が求められているものは?】

第2回は、「人事が職場や人事に役に立っているか?」「人事部門に求めているものは何か?」ということについてレポートしていきたいと思います。

人事部は職場にとって役立っているか

人事部は自分自身にとって役に立っているか

まず、人事が役に立っているか?という視点です。「人事部が職場にとって役に立っているか?」という設問に対しては、12.9%が「役に立っている」、24.8%が「役に立っていない」、「どちらとも言えない、分からない」は合計で62.3%となっています。また「自分自身に役に立っているか」という設問でも、11.8%が「役に立っている」、28.1%が「役に立っていない」、「どちらとも言えない、分からない」の合計で60.2%となっており、同じような結果がでています。この結果から、人事部が職場及び自分自身にとって役に立っていると感じている方は非常に少ないということが分かります。

「役に立っているかどうか」について、教育研修の視点からみた設問の結果を見てみます。

人事部門提供の教育研修の評価

ここでは、教育研修が仕事の成果アップや自分のキャリア形成に役立っているか?という観点での回答になりますが、いずれにも役立っていると回答した方は13.5%と、必ずしも多いとは言えません。一方で、社員一人ひとりの自己成長に対する意識の状態にもよっても、役に立っているかどうかの感じ方が変わってきますので、教育研修の内容や実施のタイミングといった、人事側だけの問題とはいいきれません。ただ、社員の意欲を高めるということも人事の役割の1つと捉えるのであれば、そういった点も含めて考えていく必要があると言えます。

次に、人事が求められているものという視点です。「人事部門について評価できる点」と「人事部門に求めること」という2つの設問を対比して「期待しているが評価していない」と読み取れる項目を見ていきます。

人事部門について評価できる点

人事部門に求めること

「評価」

正しく評価されていないと感じている方が多いことが分かります。制度も含めた評価の仕組み(評価する人も含め)に問題があると感じているのでしょう。

「配置」

人員を適材適所に配置できていないと感じているようです。これは単に配置だけの問題ではなく、その配置に合わせた育成ができていないという意味もあるのかもしれません。

「採用」

新卒・中途の採用に関して優秀な人材が採れていないと感じているようです。採用に関する人事のスキルもあるのかもしれませんが、人事がコントロールできない「人材難」というマクロ環境も影響しているのでしょう。

「優秀な人材の離職」

過去に比べて、転職に対する物理的・心理的ハードルが下がっていることが「中途採用市場の活性化」という状況を生みし、優秀な人材の離職に大きく影響しています。人事としては、金銭的報酬と非金銭的報酬の両側面から自社の施策を整理し、必要に応じて手を打っていく必要があります。

上記以外で、1つ着目したい点があります。

経営の課題に直結した人事施策を取っているかどうか?

上記は「人事部門について評価できる点」の設問にある項目の1つですが、アンケート回答から「あまり評価されていない」ことが分かります。第1回のレポート「人事部のイメージ」でお伝えした「人事部は管理中心の仕事」というイメージに深く関係していると思われます。

社員一人ひとりの期待に応えていくというのは、現実的には難しいと思います。ただ「社員が人事部に何を期待しているか」を知ることはとても重要です。会社の成長という目的のもとに、組織や個人に対する人事部の貢献度を高めるためには何をすべきかを考えていきましょう。